2018年に生まれた楽曲〜米津玄師 Lemon〜
最近、お正月も終わり2019年がまさにスタートしたと感じるようになりました。
年初めからイベントづくしで、今年の正月は慌ただしかったと振り返るとそう思います。
年末は、紅白を視たのですが2018年を締めくくるにふさわしい心に残る楽曲ばかりでした。
その中でも僕が注目したのは、過去の記事でも紹介させていただいたのですが、米津玄師さんです。
米津玄師さんは、12月26日になって紅白歌合戦に出場することが明らかになりました。
メディアの出演が非常に少なくアーティスティックで繊細な方ですが、今年の紅白歌合戦には徳島からドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の主題歌にもなった『Lemon』を披露してくれました。
また、別のラジオ番組にて「Lemon」の制作秘話が語られました。そこでは、「傷ついた人たちを優しく包み込むような曲」を意識して手がけられたとのことです。
ですが、完成した曲は4分間「あなたが死んで悲しいです。という自分の気持ちをただひたすら吐露するだけになってしまった」ようで、それを聞いた時、初めは「本当に正しかったのだろうか。ドラマの曲として成立するのだろうか。ものすごく自分勝手な曲を作ってしまった」という不安があったと語られていたようです。
「Lemon」という曲はまるでスパイスのようで、物語の中に溶け込み、絶妙に混ざり合い全体の音に深みを与え最終的な味を整え、物語をより濃く彩っていると思われます。
だからこそ、ドラマの中で「夢ならばどれほどよかったでしょう」という音声が流れた瞬間、聴く人の内に抱える感情が刺激されたのではないかと思いました。
そして「Lemon」を作る上で「曲調に関しては、そもそもバラードを作ろう」と始めたようだが、「ただ平坦なリズムになってしまうのは、このドラマには果たしてあっているのか」と疑問に思ったとのことです。
疑問に思ったそんな時に「踊るように、人の死を想う。ステップを踏むように、人の死を想う」というイメージが米津玄師さんの中に生まれたということです。
これは、ヒップホップとバラードが合わさったとも捉えられ、本来対極にあると言ってもよいその二つの要素が、米津玄師さんの手により、ナチュラルに混ぜ合わせられたことで生まれた「Lemon」はレクイエム(鎮魂歌)の曲とも感じ取れます。
「美しいものになる確信があった」と米津玄師さん自身も口にしているように、悲しくて優しいこの楽曲を生み出すことができました。
今回、曲1つにおいて作詞者、作曲者の想いがこもっていることが、米津玄師さんの作る曲を見ても分かると思います。
あなたは、どんな曲をどんな想いで聴くのでしょうか。込められた想いを感じ取ることで新たな発見があるかもしれませんね。